itoichiのブログ

ノンフィクションとフィクションの間の話です。

2. よもぎ餅男子

誰か私の夫にティファニーのダイヤモンドバイザヤードの買い方を教えてくれないだろうか。

 

私は1ヶ月後に迫る結婚式で、それを身に付けたい。

 

遡ること1ヶ月前、ダイヤモンドバイザヤードのスクショを送った、店舗が渋谷にあることも教えた。

 

 

 

しかし、私は、まだ、手に入れられていない。

 

紙袋から出したティファニーブルーの箱を見て、

目を見開いて、

彼と箱を何度も見直して、

口に手を当てて、

「嘘でしょ!?」って言っていない。

 

 

 

 

 

 

 

先に述べたように、私の夫は超絶草食男子だ。

私以外の人と、まともに付き合ったことがない。

中学生の時に公園でキスしたとか、高校生の時に映画館デートしたとか、ちゃんと青春を味わっているにもかかわらず、だ。

大人になってから付き合ったのは私だけのようだ。

私の巧みな作戦により、告白だけは彼からさせることに成功した。

 

その時の彼の枕詞は、

「今まで告白したことなくて、どう言ったらいいのかわからない」だった。

 

 

私が超絶お節介なので、告白が成功した彼が私にすることはほとんどない。行きたい場所、デートコースも、プレゼントも、全部私が決めてしまう。

 

それが彼にとっては、どうやらとても楽らしい。

 

しかし、まさか、彼が一回もデートプランを立てることなく、レストランを予約することもなく、結婚できてしまうとは、私は到底予測していなかった。

 

そして、今、どうしても彼にサプライズを用意してほしくて、もがいてしまっている私がいる。

 

まさかこんな気持ちになるとは思わなかった。

このままお節介を焼きつづけて、私のやりたいことを私が決めて、一緒にやってくれる彼を楽だと思っていた。

 

ところが、なんかちょっと足りないのだ。

 

 

彼と彼の友人と食事をしたときに、

彼の友人に聞かれた

「結婚して何か変わった?」

に対して、

「何も変わらないよ」

と言った彼のことをそれでいいと思っていた。

 

変わらないままでいることがいいことだと思っていた。

変わらないままの環境を用意してあげることがいいことだと思っていた。

 

日付が変わって帰ってくることは結婚前と変わらず当たり前で、終電で帰るよって、連絡だけすればいいと思っていたり、

 

 

 

 

 

ちょっと足りないのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

きっと君の覚悟を見たいのだ。

 

私を選んだ、君の覚悟を見たいのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私はティファニーのダイヤモンドバイザヤードが欲しいのだ。

 

私の喜ぶ顔が見たくて、用意してほしいのだ。